明後日の海の日、7月20日は、僕の次男のハルの誕生日。10歳になります。
ハルは生まれて2ヶ月目に全身を折り曲げて痙攣する、点頭てんかんという症状が現れて、ウエスト症候群という診断がつきました。このウエスト症候群というのは、とても難治性の小児てんかんで、晴暉の場合は原因は不明です。最近では、こういう潜因性の小児てんかんの原因は、母親のおなかにいて、脳が激しく成長している過程で、運悪く特定のウイルス(ノロだったかな?)に感染した場合に、その痕跡がのこり、悪さをすると考えられているようです。
ウエスト症候群はとても予後の悪いてんかんで、死亡率も30%にものぼります。知能や運動能力に対する遅滞もかなりの確率ででます。最初、その診断がついて、この病気について知ったときには、ぼくも、奥さんも、本当に悩んで、苦しみました。生まれてこなければよかったのに、と思ったことも何度もあります。
ウエスト症候群には、特効薬があります。ACTHという副腎皮質ホルモンの前駆物質なのですが、これを大量に投与することで、直る場合があるのです。ハルも、その治療を受けました。ACTHはステロイドと同じです。それを大量投与するのですから、副作用がわんさかでます。そのため、1ヶ月かかる治療中は、奥さんはずっとつききりで入院。長男はまだ元気だった僕の両親の元で過ごしました。
ACTHの注射で不機嫌になって泣く、副作用でまんまるい顔に浮腫んだハルは、それでも治療の効果があがり、なんと発作がとまりました。顔には笑いがもどりました。僕たち家族は、幸運に感謝しました。ハルはその間に立ち上がり、歩けるようになりました。しかしその幸福は長く続かず、半年後、またあの忌々しい発作がハルを襲うようになったのです。
ACTHは、再発したらもうチャンスはありません。それから、経口薬物治療のみとなり、ハルはよくなったり、調子が悪くなったりを繰り返しながら、なんとか9歳を迎えることになったのです。
今のハルは、レノックス・ガストー症候群という病名に代わっています。ウエスト症候群は、年をとると必ず発作型がかわるのです。今のハルは、ときどき、発作を起こして倒れてしまいますから、ヘッドギアをつけて、養護学校に通っています。でも、ハルはとてもハッピーそうに見えます。
電車、いや、むしろ踏み切りが大好きで、最近は気に入った踏み切りの写真が載っている本を夢中で見ていたりしています。言葉は話せませんが、共通の認識の中で意味のある単語を話します。去年は薬が会わず、ろくに歩けない状態でしたが、今年は元気で、ご飯も何でも食べるようになりました。
今は、僕たち夫婦、そして長男も、ハルの成長を暖かく見守っています。やっていることは2~3歳位のことがせいぜいですが、でも一生懸命なにかをしている姿は、僕たちに勇気をくれます。
もしかすると、今年ハルは、手術を受けるかもしれません。かわいそうで、辛いのですけど、楽しく暮らしていくために少しでもよくなれば、と願わずにいられません。
ハルがくれる嬉しそうな顔を見ると、うちを選んで生まれてきてくれて、ありがとうって、思います。生まれてこなければいい、なんて昔思っちゃって、ごめんな。
さて、電車のDVDでも、探しにいくとしましょうか。