第2話【未使用のコンサートチケット】

サマーな8月に入ったので、ホラーなお話をしてみたいと思います。

ある日、男性Bさん(仮名)が、買取り商品の査定をするために、届いたダンボール箱の中から、本やCD・DVDを取り出し、商品の状態をチェックしていました。その中に、女の子アイドルのCDがあり、歌詞カードを開けて見ると、パラッと何か落ちたそうで…拾いあげると、そのアイドル歌手の古い未使用のコンサートチケットなんです。とりあえずそういうものは、破棄なのでゴミ箱に捨てたんですね。CDのスレ傷が気になり、試聴してみたそうです。

すると、かわいい女の子アイドルの歌声と一緒に、

「い…き…た…い……いきた…い」

と低い男のかすれ声が、聞こえた気がしました。けれど、Bさんは「前売りチケット買ったけど、コンサートに行けなかったのかな?」とぐらいにしか思わず、仕事を終え帰宅したらしいんです。

 
その日の夜なんですが…。

 
Bさんが、寝苦しい暑さに何度も寝返りをし、やっと寝つけた真夜中ごろ…、
掛けていたタオルケットの足首を氷のように冷たい手でつかまれ、ハッと目が覚めました。
足下を見ると、暗闇の中でギラギラ赤黒く光る充血した目がこちらを睨んでいます。
そして、唸るようなうめき声が…。

 

「い…き…た…い……いきた…い」

 

Bさんはその時、気づいたそうです。
この「いきたい」と言ってるのは「行きたい」でなく、「生きたい」だったんじゃないかと…。

チケットの入ったCDの元々の持ち主が、コンサート直前で亡くなったかどうか調べる事はできませんが、Bさんは次の日の朝、昨日捨てたゴミ箱をさがし、未使用のチケットを、もとの歌詞カードの中へそっと戻しておきました。その直後、CDは売れて発送していったそうです。

 

それが、どのアイドルのCDでどの商品だったのか、

Bさんと連絡不可能となった今では、知る事ができませんが…。

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